見合いしろって散々言われて、もううんざりなんだが。
「カスケードさん、また持ってきたの?」
「だって見きれないから…」
見合い写真ばっかり持ってきて悪いな。
でもこんな大量の写真一日で目を通すのは無理なんだ。
三日経っても無理だったんだ。
「お父さん、そんなにカスケードさんに結婚して欲しいんだ?」
「らしいな。インフェリアの血を絶やすなってことなんだろうけどさ…」
でもなぁ。
もしいい人がいて、結婚して、子供ができても、
軍人にはしたくないんだよな、俺としては。
「どうしても決まらなかったらおれと結婚する?」
「…アクト美人だけど男だからなぁ…不良もいるし…」
「冗談冗談」
からかわないでくれ。俺だって真剣なんだ。
いつまで経っても結婚する気が無いのは、多分ニアが忘れられないからなんだろうな。
あいつは親友だけど、俺は好きだったし。
俺ナンパはするけど結婚とかそういうのはなぁ…。
「カスケード、それ最悪だよ!」
…あれ?今ニアの声がしたような。
とにかく、親父が俺くらいのときにはもう俺生まれてたんだよな。
心配するのもわかるんだよ。…心配なのは血筋だろうけど。
さて、どうしたものか。
「なー、黒すけー」
「…何だよ」
「お前の彼女さー、可愛いよなー」
「やらねー」
「…いや、そうじゃなくてな。
うらやましいなと思って」
「…ハッ」
鼻で笑われた!
黒すけに…黒すけが…黒すけめ…っ!
「中将、仕事してください」
「…アル…お前弟の監督不行届きだぞ…」
「?」
とにかくいろいろあって親父に任せることにした。
俺じゃ決められないし、決める気無かったし。
だから今こうして見合いの席にいるのだが。
「…窓からのぞいてるやつ、帰ってくれないか?」
この気配だと…カイとディアと…あと誰いるんだ。
なんかいっぱいいるような気がする。
それにしても見合い相手ってどんな奴なんだか。
なるべく美人選んどいてーとは言ったけど…。
「インフェリアさん」
ん、見合い相手?
…じゃないよな。明らかに。
だって知り合いだし。
「モンテスキューさん…」
男だし。
「奇遇ですね、こんな所で」
「そうですね。インフェリアさんはどうして?」
「あー…言うの恥ずかしいんですけど、見合いなんですよ」
「お見合いですか。実は私もなんですよ」
うっそぉ。
「…いや、私じゃありませんよ。姪です」
「シィちゃん?」
シィレーネ・モンテスキューはモンテスキューさんの姪で、俺の部下だ。
まさかシィちゃんも見合いとは…そんなことしなくてもいい相手見つかりそうだけどな。
「シィちゃんの相手ってどんな人なんですか?」
「あぁ、それは…」
「おじさーん」
ぱたぱたという足音と、聞きなれた声がした。
職場でもよく聞く声だ。
「シィレーネ、行儀よくしなさい」
「叔父さん、相手の方もう来て…」
ふと、シィちゃんと目が合った。
「…やぁ」
声をかけても固まっている。
いつもなら飛びついて、元気よく「こんにちはーっ!」とか言うのに。
今日のシィちゃんはなんかおかしい。
「…叔父さん、どういうこと?」
「どういうって?」
なんか困惑してるみたいだ。
一体何が…
「何で私のお見合い相手、カスケードさんなの?」
…あれ?
お見合い相手?
シィちゃんの見合い相手って、
…俺?!
「え、ちょ、俺聞いてないです!」
「私だって聞いてない!叔父さん、どういうこと?!」
「二人とも落ち着いて。今説明するから」
モンテスキューさんは俺たちを座らせて、咳払いを一つして話し始めた。
俺とシィちゃんはそれを混乱の中で聞いていた。
「インフェリアさん…君じゃなくて、君のお父さん、アーサーさんから電話がきてね。
さっさと結婚するように息子に言ってくれないかって…姪と見合いさせてくれないかって言うんだ」
親父、勝手すぎ。
シィちゃんだって好きな人とかいるかもしれないのに…。
「…ごめんな、シィちゃん」
ショック受けてるだろうなと思って謝る。
ずっと俯いたままだったし、俺となんていやだろうなって思ったから。
でも、
「良いんです…おかげでいい機会ができました」
顔を上げたシィちゃんは落ち込んだ様子もなく、
「カスケードさん、私、あなたのことが好きです!」
むしろキラキラしてた。
「…好き?俺が?」
「はい。カスケードさんは私のこと部下とかファンの一人とか思ってたかもしれないですけど…」
そのとおりでした。
あの辛いクッキーとかもそのつもりだと思ってました。
「でも、私は本気でカスケードさんの事好きなんです!」
…本気でって言われてもなぁ…。
いや、でもこれはチャンスかもしれない。
知らない人との結婚よりも、身近な子との付き合いのほうが良い。
もしかしたら、ニアのことも吹っ切れるかもしれない。
「…シィちゃん、俺で良いのか?」
「はい?」
「俺、どうしようもないぞ?思い出依存症だし」
「…何言ってるかわかりませんけど、私はカスケードさんが好きなんです」
真剣な赤眼が綺麗だ。
この子、こういう表情できるんだ。
「わかった。サンキュ、シィちゃん。
モンテスキューさん、あなたの姪とお付き合いさせていただいてよろしいですか?」
「…かまいませんが…」
よし、決定。
これで親父にも文句言われないし、シィちゃんの事はこれから知っていけば良い。
「インフェリアさん」
「はい」
モンテスキューさんの表情が、厳しくなった。
「姪は私にとって娘のようなものです。
…泣かせるようなことがあれば、父としてあなたを殴らせていただきます」
そりゃそうだろうな。
モンテスキューさんの言っていることはよくわかる。
「大丈夫です。泣かせたりしません」
俺は誓ってしまった。
それがどんなに大変なことかも知らずに。
「カスケードさん、妥協してません?」
見合いの後二人で出かけて、その一言目がこれだった。
「妥協って…」
「見合いとか面倒だし、こいつでいいや…とか思ってません?」
ごめん、半分そうだった。
またニアに最低って言われそうだ。
「…シィちゃん、俺は妥協なんかしてない。
シィちゃんが良いと思ったんだ」
「…本当に?」
「本当だって」
シィちゃんは暫く俺を見て、それからぱっと明るい笑顔を咲かせた。
「よかった!ありがとうございます!」
…俺ってやっぱ最低の男だ。
罪悪感が重い。
「あ、シィちゃん、アイスクリーム食べるか?」
「食べたいです」
「じゃ買ってくるから。ちょっと待ってろよ」
アイスクリームで償える訳無いんだけどな…。
大体アイスクリームって発想もニアの事思い出してるからだ。
ニアはアイスクリームが本当に好きだった。
子供の頃よく一緒に食べてたし。
…クローンのニアにも、食べさせてやりたかったな。
「お客様」
「…あ、はい」
「何になさいますか?」
「…じゃあバニラ二つ」
「かしこまりました」
そういえばシィちゃんの好きな味とか訊くの忘れた。
バニラ嫌いだったらどうしよう。
「お待たせしました」
ニアとはいつもバニラだったから、自然と「バニラ二つ」って言ってしまう。
もうずっと昔のことなのに。
「シィちゃん、バニラでよかったか?」
「はい。ありがとうございます」
シィちゃんはアイスクリームのカップを受け取って、にっこり笑う。
この笑顔がなぁ…
どことなくニアに似ていて、やっぱり罪悪感。
「シィちゃんさ、好きな味とかあるのか?」
次のときのために聞いておかなければ。
じゃないとモンテスキューさんに殴られる。
「んー…バニラ大好きですよ。でも、やっぱりストロベリーかな。
シェリーさんときた時はいつもストロベリーなんです」
やっぱり先に訊いておくべきだった。
「そっか、ストロベリーか。じゃ、今度また奢るよ」
「ありがとうございます」
こうやって少しずつ知っていけば、シィちゃんのことだけを見れるようになるだろうか。
それとも、彼女がニアと似てると思った時点でもう…。
「シィレーネちゃんがおれに料理を教えて欲しいって来たんだけど」
俺が一番怖いのは正直アクトかもしれない。
女の子っていうのは結構噂好きで、いつも何かしら話題がある。
何故かその話題にアクトも交じっているようだ。
女心っていうか、そういうものをわかってくれるからなんだそうだ。
…わからないでもないけどな。
「シィちゃん、なんか言ってたか?」
「言ってたどころじゃない。ディアからも聞いたし…」
やっぱりあいつ後つけてたのか。
「カスケードさん、半端な気持ちなら付き合うのやめたほうが良いよ」
「え」
「シィレーネちゃんは見た目より傷つきやすい。…カスケードさんが一番わかってると思うけど」
俺が一番わかってるって…
あぁ、そういうことか。
俺はシィちゃんの軍入隊に関わっている。
入隊を勧めたのは俺だから。
モンテスキューさんを通して間接的にだし、シィちゃんはそのことを知らない。
でも、俺はシィちゃんのことを知っていた。
モンテスキューさんに初めて会ったとき、あの人は自分の姪の話を始めた。
心にたくさん傷を受けた所為か、塞ぎがちな子だって。
死のうとして、何度も自分を傷つけたって。
そうだ。
俺は彼女に自分が必要とされていることをわからせるために、軍入隊を勧めたんだった。
「…アクト、俺、ニアのこと忘れられなくてさ」
「うん」
「それで、シィちゃんの笑顔見ると…どうしてもニアに重なるんだ」
「うん」
「やっぱり俺はニアが好きなのかって…そう思うんだ」
俺はすごく駄目な奴だ。
こんなんだからニアにも怒られるんだよな。
シィちゃんにも悪いし。
「カスケードさん、シィレーネちゃんは本気でカスケードさんの事好きだよ。
生半可な気持ちで受け止めようとしないで欲しいんだ」
御尤も。
でも、どうすれば良いんだ?
俺はシィちゃんのためにどうすれば良い?
このまま付き合うべきか、それとも謝って別れるか。
どっちにしても傷つけるよなぁ…
「カスケード、お前バカだろ」
この声は一番バカって言って欲しくない声だ。
「不良に言われたくない」
「でも今のお前は俺よりバカだ。
昨日アクトが何時間相談受けたと思ってるんだよ」
「…相談?」
アクトがディアを小突いて、慌てていた。
シィちゃん、アクトに相談してたのか。
アクトが隠すってことは…
多分、わかってるんだ。
映画を見たけど、頭になんか入らなかった。
シィちゃんの気持ちを考えると、映画なんか見てる場合じゃなかった。
内容も内容だったけど(チケットとったのアクトだし)、それ以前の問題がある。
「カスケードさん、どうかしました?」
「…いや、何でもない」
付き合い続けるか、
それとも別れるか。
「…カスケードさん」
「ん?」
「アイスクリーム、食べたいな」
シィちゃんが立ち止まって、言った。
この間の店の前。
「わかった、買って来るから」
走っていって、順番を待つ。
その間にも俺の頭の中は迷いでいっぱいで。
「…になさいますか?」
「え?」
「何になさいますか?」
いつのまにか順番が来ていた。
後ろで並んでる人が俺を睨む。
「あ、え、あの…バニラ二つ」
「かしこまりました」
店員が用意し始めて、あ、と思った。
シィちゃんが好きなのって、確か。
「お待たせしました」
俺の手元にはバニラが二つ。
ストロベリーは一つもない。
「…シィちゃん、ごめん。ついいつもの癖で…」
「…良いんです。知ってます」
シィちゃんは寂しそうに笑って、アイスクリームを受け取った。
「知ってるって…」
「ニアさんのこと。カスケードさんは親友のニアさんの事が忘れられないんですよね。
私だって、そのくらい知ってます」
一体誰から。
いや、そんなことは問題じゃない。
「カスケードさんは、ニアさんが好きなんでしょう?
だから、私がカスケードさんとこうやって一緒にいても、見てくれないんでしょう?」
「シィちゃん…それは」
違う、と言いかけて、
何が違うんだ、と思う。
「カスケードさん、私じゃ駄目なんですか?」
「シィちゃん…」
「私じゃ、あなたの大切な人にはなれないんですか?」
アイスクリームは溶けてしまって、
彼女の想いも雫になってしまって、
俺にはどうすることもできないまま、その日は終わってしまった。
その日の夕食はピーマンの肉詰めだった。
「…アクト、これ…」
「カスケードさんの夕飯」
「いや、でも…」
「おれは基本的に女の子の味方だから」
情報伝わるの早すぎだろ。
アクトが怒るのも当然だけど。
「カスケードさん、おれ言ったよね。
生半可な気持ちで付き合うなって」
「…言いました」
「結局女の子傷つけて…何やってんだか」
本当に何やってるんだ、俺は。
シィちゃん、大丈夫だろうか。
俺、やっぱり嫌われただろうな。
…その方が都合良いかもしれない。
シィちゃんにはもっといい奴がいるさ。
………………
本当に俺はそれで良いのか?
今のままじゃ何にもならないだろ。
責任取らなきゃいけない時に、拗ねてる場合じゃない。
「アクト、俺やっぱピーマンいらない」
「何言ってるの、カスケードさ…」
俺はダッシュでシィちゃんのところへ向かった。
傷つけたままで放置しとけない。
「…単純なんだから、あの人も」
女子寮はどうやら食事中らしい。
食堂が賑やかだ。
「カスケードさん、何しに来たんですか?」
「リアちゃん…シィちゃんいるか?」
「シィレーネちゃんですか?…いない、みたいですけど。
あ、でもシェリアちゃんなら…」
リアちゃんがシェリーちゃんを呼びに行ってしまった。
シェリーちゃんはシィちゃんの親友だから、絶対怒られるな。
そう思ってたら、腹部に蹴りが飛んできた。
「ぐはっ」
「中将!何やってんのアンタ!」
視線が一気に集中する。
「シィが泣いて帰ってきたと思ったら、ご飯いらないとかって言い出すし!
あの子どうしてくれるの?!」
やっぱり泣いてたか。
夕飯も抜くつもり見たいだし…。
「シェリーちゃん、シィちゃんに謝りたいんだ。
…会わせてくれないか?」
「イヤ。全く、どいつもこいつもわかってないなぁ…」
だから男って…とシェリーちゃんは溜息をついている。
「そこをなんとか!」
諦める訳には行かない。シィちゃんに謝るまでは、絶対諦めるものか。
「頼む!どうしてもシィちゃんに謝りたいんだ!」
「謝って何になるの?シィが傷ついた事実は変わらないんだから」
「事実は変わらなくても、俺は謝りたい!自分勝手だけど…」
「…なんで中将が少尉に土下座してんのよ…」
シェリーちゃんは呆れ果てて、シィちゃんと会う許可を出してくれた。
ただし、五分限り。
「五分オーバーしたら出てってもらいます」
でも焦っちゃ駄目なんだ。
自分の気持ちを伝えなきゃいけないんだ。
シィちゃんは俺に気づいてすごく驚いたようだった。
それから笑顔で応えてくれた。
「どうしたんですか?こんな時間に」
「…シィちゃん、俺…謝りたくて」
「謝るって…何で?」
「いや、だから…昼間の」
シィちゃんは首をかしげていた。
忘れた、とでも言うように。
俺はシィちゃんに頭を下げて、言った。
「ごめん!本当に悪かった!
俺、確かにシィちゃんのこと…ニアと重ねて見てた」
シィちゃんは暫く黙っていた。
じっと俺を見ていた。
「…何で、謝るんですか?」
漸く発した言葉は、震えていた。
「何で、謝ったりするの?ニアさん好きならそれでいいじゃない。
私はただ傍に居たいだけなんです。
カスケードさんの痛いとこ、少しでも埋められたらなって…」
「シィちゃん…」
「でも、できなかったんですね。余計に痛くしちゃって…」
「違う。シィちゃんは…」
痛いのは俺じゃない。
だけど、痛かった。
シィちゃんの所為じゃない。自分の所為だ。
「シィちゃんは、俺に新しい記憶をくれた」
「…記憶…?」
「そう。ニアのことは確かに大切なんだ。俺の記憶で、欠けちゃいけない部分なんだ。
シィちゃんはその大切な記憶に、新しいものをくれたんだ」
アイスクリームはニアとの思い出。
だけど、一番最近一緒に食べたのは誰だった?
太陽のような笑顔をくれたのはニアだ。
でも、ニアだけじゃない。
「シィちゃん、こんな俺でよければ…また新しい記憶をくれないか?」
ニアを忘れる訳じゃない。
積み重ねていくだけだ。
「…カスケードさんこそ、私でいいんですか?」
声の震えが、止まる。
「あぁ。…シィちゃんから欲しいんだ」
「…良いのかな。ニアさん、怒らないかな」
「ニアは喜んでくれる。絶対」
「そう、かな…」
シィちゃんはニアじゃない。
だからシィちゃんなんだ。
俺はまだ何もシィちゃんのことわかってないけれど、
「これからたくさん教えてあげます!」
…だそうだから、大丈夫だろう。
「…五分とっくにオーバーしてるけど、まぁいいか」
俺達の新しい記憶が始まる。
カスケードさん、私キレイ?
キレイっていうか…可愛いな。
キレイって言って欲しかったなぁ…一生に一度のウェディングドレス…。
シィちゃんはやっぱ可愛いからさ。どうしても可愛いが先に出るんだよな…。
…まぁいいか。さ、いきましょうっ!
おい、今「年の差が犯罪だ」って言った奴、前に出ろ。
* * *
大総統に呼び出されたけど、無視した。
大総統より大事なものがあるからだ。
何ってそりゃあ…
「シィ!子供は?!」
妻と子に決まってるだろ。
「まだ産まれてません。病院では静かにお願いします」
…怒られた。
だって子供だぞ?静かにしていられるかって。
…他の人の迷惑?どうもすみませんでした。
去年ブラックの所に女の子が生まれて、この前アルの所も女の子が生まれて、
今度は俺の所。
どんな子が生まれるだろうか。シィに似るか、俺に似るか。
シィが「子供できたみたい」と言ってから、ずっと楽しみに待っていた。
「看護師さんから苦情がきてますよ」
「モンテスキューさん…」
苦笑しながらやってくる義父(いや義叔父か?)に謝りつつ、知らせを待つ。
「私が予想しても良いですか?」
「何を?」
「子供の性別ですよ」
「あ、それもう予想ついてます」
「じゃあ外見を」
「どうぞ」
性別は俺の中ではすでに決定している。
外見の予想ってのはあまり聞いたことがない。
「そうですね…髪と眼はインフェリアを継ぐと思いますよ」
「またダークブルーですか…」
「予想ですから」
そうこうしているうちに、声が聞こえてきた。
新しい命の声が。
モンテスキューさんの予想は大当たりで、子供はしっかりインフェリアを継いでいた。
顔はまだわからないが、多分シィに似るんじゃないかと言われた。
俺の性別予想もしっかり当たっていて、やっぱり男だった。
名前はずっと前から決めていた。
あいつが「また会おうね」って言った時から。
シィもそれをわかっていてくれて、息子の名前が決まった。
「ニア、また会えたな」
どんな人間に育つだろう。
そのために、俺は何ができるだろう。
大総統の用件は、
「後は任せた」
だったそうだ。
ニア・インフェリア誕生と同時に、
大総統カスケード・インフェリアも誕生したって訳だ。
今月の給料?
可愛い息子の写真に決まってるだろ。
Fin